残す責任

私はいつも、取材を受けてもらった人にも喜ばれる文章を書きたいと思っている。

編集者やディレクターが意図するもの、すなわち読み手に喜ばれる文章、ももちろん大切だけど、それがもし、取材を受けた人の意図に反するものなら、書きたくない。

言葉というのは、とても微妙で、ちょっとしたニュアンスで、そこに含まれる意味が違ってしまったり、受け取られ方が違ってしまったり、する。

だから、ライターは責任を持たないといけないのだと思う。自分の書く文章に。


その人の語った言葉をしっかり聞き、それがどういう意味なのかを、しっかり考える。

だから取材中、よく「こういうことですよね?」と聞き返している気がする。

私が取材するのは、有名人や芸能人ではなく、一般の人。

だからこそ、この取材でしか語られない言葉、があると思っている。

それをできるだけいい形で残す、という責任がある。


そういえば、「書いたものは残る」という言葉を昔何かで見た。

ぴりっと突き刺さるような言葉。でも本当にそう。

書いて、完成したものは取り返せない。

だから何度でも繰り返し読む。

仕事をするときは、いつも心に留めておきたい。

あまおと

ライター、塩井典子のブログ。 一年滞在したフランス・ストラスブールの記録、ライターの仕事のこと、 子育てのことなど。

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