一汁一菜でよいという提案

フランスに行く前から、ずっと読みたかった本。

「一汁一菜は決して手抜きではないのです。手抜きしたなんて思うと、自分がいちばんいやな気持ちになるものでしょう。」

料理する人の負担を軽くしてくれる本かと思っていましたが、それだけではなくて、和食とは何か、和食に表れる日本の心とは何かを説明する深い本でした。

一汁一菜でもいい、のではなくて、一汁一菜だからいいのだ、という提案。

そしてその一汁一菜も、ご飯、味噌汁、香の物というごく簡単な内容です。

本の中で紹介される旬の味噌汁がとても魅力的で、たとえば春は、うどのぶつ切りとサバ缶の味噌汁、夏はじゅんさいや鮎の味噌汁など。シンプルだけど、しみじみと素敵だなぁと思えるお料理なのです。

「普通のおいしさとは暮らしの安心につながる静かな味です。」

土井先生の言葉がとても優しく、沁みわたるようで、美味しいお味噌汁をいただいた後のように、きれいな心持ちになれる本でした。

食をしっかりとしたい、と思います。
特別なことをするのではなくて、旬のものを食べるとか、地元の野菜をたくさん食べるとか、自分にできる範囲で食に向き合いたいなぁと。

それから「脳が喜ぶおいしさと、身体全体が喜ぶおいしさは別」という言葉も印象的でした。
生クリームたっぷりのパンケーキとか、フライドチキンとか、もちろんたまには食べてもいいと思うけど、食べたい誘惑に駆られたら、この言葉を思い出すようにします。

あまおと

ライター、塩井典子のブログ。 一年滞在したフランス・ストラスブールの記録、ライターの仕事のこと、 子育てのことなど。

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