2018.02.14 13:26「何者」朝井リョウ「何者」。やっと読んだ。就活をテーマにした小説。ツイッターやSNSが頻繁に出てきて(というかそれが主軸になっていて)、現代ならではの人間関係の複雑さが描かれている。就活。何者かになろうとあがく人達。それを笑う人達。主人公に同調してうんうん、と読んでいると、急に冷たい水がぴしゃりと飛んでくる。そんな小説。「そんなことやったってしょうがないよ」そう言って何もしないのが一番楽だけど、結局それでは何も生まれない。今だから思うことだけど、面接官が求めてるのは、マニュアルに沿った回答じゃなくて、つかえても、上手くなくてもいいから、自分自身で考えた本心の言葉なんだろうな。あの当時そこに気づいていたら、もっと楽になれたのになー。
2017.10.29 13:36食べるを読むごく最近読み終わった本。平松洋子さんの「忙しい日でも、おなかは空く」。この方の文章が本当に好きで、いつも背筋を伸ばして読みたくなる。感覚の研ぎ澄まされ方、食べるものへの愛情。びっくりするほど瑞々しく、ていねいで、心地よい言葉たち。どうやって料理を描写しているのだろう、とよくよく読んでみると、料理そのものの描写よりも、口へ運ぶまでの気持ちとか、季節や温度、食べ終わった後の幸福感、などを丁寧に描いていることが分かった。自分もその料理を目の前にしているような気持ちになって、ほっこりと幸せな空気に包まれる。いいなぁ。食べものが登場する文章は、ほんとうに幸福だ。